自然豊かな南国を拠点にした 家族五人の愉快なキャラバン
宮崎空港には「宮崎ブーゲンビリア空港」という愛称がある。まさに南国イメージのこの地に移住してきた五人家族の本多家。夫婦の旅好きが高じて、住み慣れた岐阜から、自然豊かで暖かな南国の地へと移り住んだ。思い立ってから、わずか 4カ月で移住をかなえた家族は、いま宮崎でどんな時間を過ごしているんだろう。
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妻:あやなさん
兵庫県生まれ。旅と温泉とサウナとお酒をこよなく愛する、ほんだ家のムードメーカー。介護士の資格をもつ。神社ガールでもある。 -
夫:ひでたかさん
愛知県生まれ。プロの配送ドライバーとして家族を支える。やさしい人柄がにじみ出たような、爽やかな笑顔がトレードマーク。 -
こどもたち
れんきくん16才(写真上)
あみかちゃん6才(写真下右)
ゆめかちゃん4才(写真下左)
写真:押尾健太郎
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移住とスタンス
-五人の愉快なキャラバンの日々-
南国移住大騒動
いつ頃から、移住しようと思っていたんですか?
あやな 私たち旅行がほんとに好きで、特に温泉と海が大好きなんです。だからずっと移住に憧れてて、いつかしたい、いつかしたいって長いこと思ってました。
じゃあ、いろんな情報をチェックしていたんですね。
あやな それが、ほとんどしてなくて。移住したいなと思ってはいたけど、あまり行動には移せてなかったんです。
ひでたか ただ移住情報として、空き家バンク(空き家の情報を地方公共団体のウェブサイトで見られる仕組み)は気にして見てました。移住するにしてもしないにしても、家がなければできないと思っていたので。
それで、この家の物件情報がアンテナに引っかかった。
ひでたか そうですね。年末に物件を見つけてカチタスさんに連絡を取って、年明けに旅行がてら見に行ってみようって。
あやな 本当は12月に行きたかったんですが、さすがに年末で休みもとれない。じゃあ年が明けてから動こう。家さえ決まれば移住できるから、まず家を決めに行こうと。
それだけ腰が軽かったってことは、本気だったんですね。
あやな もちろん本気です。でも探してみて、いい家がなければあきらめよう、とは思ってました
宮崎県に目星をつけたきっかけは、なんだったんですか?
あやな もともと九州は狙い目でした。私たちの憧れの地は沖縄なんですが、実際に住むのは難しそうだったんです。だから南にあって住みやすそうで、海も温泉もある九州がいいかなと。
沖縄は、住むハードルが高いんですね。
ひでたか 少なくとも、僕たちにとってはそうでした。家の価格が高いですし、台風もすごい。あとやっぱり旅行が好きなので、沖縄から行くとなると必ず飛行機に乗らなきゃならなくて、旅行のたびにとんでもない金額になっちゃう。
あやな 何年か前に旅行で、かなり長い間、沖縄に滞在したことがあるんです。台風で帰れなくなっちゃって。そのときにスーパーの物価の高さを痛感しました。ほんと、めちゃくちゃ高い。
ひでたか 九州なら交通の便もいいし、沖縄も行きやすい。屋久島とか奄美大島も行ける。
なるほど。それで九州なわけですね。その中からどうして都城市が選ばれたんですか?
あやな たまたまスマホの通知に移住の給付金情報が出てきたんです。それが11月半ばくらい。その給付金がかなりいいので、どんなところかなって二人でいろいろ調べてみたら、仕事も見つけられそうだなと。夫は配送ドライバー、私は介護士で、二人とも資格があるので転職には強かったんです。じゃあ空き家バンクを見てみようって。
ひでたか そのとき、もうこの家が売りに出てましたね。
引っ越してきたのは何月ですか?
あやな 3月末ですね。自分たちで先に荷物を入れに来て、翌日に色んな手続きを済ませました。
ということは、11月の半ば過ぎに都城市を知って物件を見つけ、12月に準備して、1月に物件を下見。そこで購入を決めて、3月末には引っ越しちゃったと。
あやな ええ。結構バタバタですよね。
ひでたか バタバタはしてたけど、11月の間はかなり遊び倒してたような。
すばらしいバイタリティですね。
移住と仕事と子どもたち
それにしても、その短期間で転職まで決意しちゃうっていうのが、ほんとに思い切ってますよね。仕事は、二人せーので辞めたんですか。
あやな そんな感じです。夫は3月の終わりに引っ越す前日まで、仕事をしてましたね。実際に辞めるって言ったのは、2月かな。
ひでたか 僕は有給消化があったので、4月末まで1カ月くらいは、仕事する必要がなくなったんです。だから正確には4月いっぱいで辞めてます。失業保険の手続きとかもして、ゴールデンウィークも挟んだから、就職活動を始めたのは5月半ばですね。
あやな この人、就活1日目で仕事決めてきたんですよ。所長さんがすぐ「決定だから」って言ってくれたんだよね。
ひでたか そうですね。3つか4つくらいの会社は回ったけど、1日で決まりましたね。
え!そんなマンガみたいな話、ほんとにあるんですね。奥さんは、いつから働き始めたんですか。
あやな 6月1日ですね。だから、こっちに来て1カ月くらいは二人とも遊んでましたね。
そこで遊べるハートがすごい……。これは主に、どちらの気質なんですか?
あやな それはねえ(夫を見る)。
ひでたか え、オレ!?。
あやな はははっ。いずれにしても、私たち、いい性格しとるよね(笑)。
お子さんたちはどういう反応でした?
あやな いや、大きな反応は特になかったですね。普段からあちこちに行き過ぎてるからか、娘なんかは最初「今回の旅は長いな~」くらいの感覚だったんじゃないかな。
ひでたか そうね。宮崎に来てちょっと経ってから一番下のゆめかが、「おうちいつ帰るの?」って言ってました(笑)。
れんきくんはどうですか?せっかく高校受験したのに、1年で転校することになったわけですよね。
あやな れんきは結構、「行く行く」っていう感じだったよね。
ひでたか 転入がちょっとした試験だけで済んだっていうのもあるかもしれんけど、れんきは基本的にフットワーク軽いから(笑)。
それは、本多家の血なんですね。
あやな そうなのかな。でも子どもらは、土地に馴染むのは早かったです。
移住っていうと、ドラマとかだといろんな問題が起こったりしますが、本多家の子どもたちは割とすんなり受け入れてたってことですね。
ひでたか そうですね。あみかとゆめかの場合は、移住っていうものがよく分かってないんだと思いますけど、れんきに関しては、そうですね。「全然行くよ」みたいな。
そこは大きいですね。家族が一人でも行きたくないってなったら、大変ですもんね……。それじゃあ移住は、大成功ですね。
ひでたか まだ正社員じゃないので生活は安定していませんけど、まあ成功です(笑)。
あやな そうやね。移住してよかった!
お金よりも大事な決め手
移住するとき、家は最初から買うつもりでしたか。
あやな いえ、別に持ち家にこだわってたわけじゃないですね。借家で全然よかったんです。
ひでたか そうそう。でも借家をいろいろ見に行ってみたら、自分たちが気に入ったところがない……。アパートだと子どもたちうるさいかな、広いマンションだと金額面が合わないかなとか。
あやな 結果的に元の予算よりだいぶ出ちゃいましたけど、私ここがすっごく気に入ったんです。
ひでたか 彼女、高い買い物をするときは慎重派なのに、そう思うっていうのならいいのかなって。だからその日に決めちゃいました。
じゃあ決め手は、フィーリング。
あやな そうです。ただ、それだけじゃないです。長友さん(カチタス営業担当)といろいろ話していたのも大きかったですね。私たちは移住者で、宮崎のことも都城のことも、ほとんど知らなかった。だから、土地の人である長友さんとは結構、密に連絡をとってました。
確かに、土地の情報は気になりますよね。
あやな ほんとに。いつも電話すると15分くらいは話してましたね(笑)。購入を決める前から、知らない土地への移住でいろいろ不安だった時に、まめに連絡をくださってたんです。
なるほど。それも決め手になったんですね。
あやな そもそも第一に、持ち家は選択肢に入らないだろうなって思ってました。
ひでたか 実際、家計のことも考えないといけないので、ちょっと難しいかなって思ってて。だから心に決めたものの、買うまでには少し時間がかかりました。
それでも、買おうと踏み切ったんですね。
あやな やっぱり、物件が気に入ってたっていうのが一番ですね。暮らす場所なので。
ひでたか 要は何より、この家が気に入ったってことですね。
そこなんですね。
あやな 金額的にも、これくらいだったらって。多分これが新築だったらよう払わんけど(笑)。
ひでたか 計算とかもしっかりしてみて、まあいけそうだなって。
金銭も含めて腑に落ちる物件って、なかなか出会えないですもんね。
あやな そうですね。まあ、なんだかんだで“縁”があったんだろうな。お金も大事だけど、家が気に入らなかったら、いくら移住したくても「やめよう」ってことになりますよ。自分たちの住む家が気に食わなかったら、絶対にいい気持ちで過ごせないですから。
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