こだわる夫と凝り性の妻。 多趣味なふたりの家族のはなし
住宅街の一角に、ユニークな外観の家がある。1階のオープンガレージには磨き上げられたSUV。その隣は、木枠の菜園ボックスが並ぶ家庭菜園だ。家の中には手作りの家具が並び、釣り具やプラモデルが目を引くインテリアになっている。多くの趣味を持つ川口夫妻の暮らしは、ふたりの子ども時代とつながっていた。
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夫:ひかるさん
茨城県生まれ。高校卒業後、住宅用木材のプレカット製造工場に勤める。DIY、釣り、車、ダーツ、料理など趣味多数。 -
妻:かなさん
茨城県生まれ。子どもの頃に体操を始め、両親に憧れて学校の先生となった。家庭菜園に並々ならぬこだわりがある。
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多趣味の目覚め
-好きなものであふれた子ども部屋-
昆虫の集まる庭と大家族
(リビングに移動)それにしても、たくさんの趣味をお持ちですね。
ひかる 僕の場合、全部の趣味を均等に好きなんですよ。プラモも、車も、釣りも。もちろん、DIYも。
興味を持った趣味の順番って覚えてますか?
ひかる スタートはプラモデルだと思います。小学生の頃からミニ四駆とかにハマってましたから。釣りは小学生の高学年から始めたと思います。
ご実家は茨城ですか?
ひかる お隣の常総市です。小さい頃は、虫を捕るのが好きでした。友達ともやりましたが、そのうち一人で勝手にやってましたね。
虫取り網をもって近くの森に行ったとか?
ひかる いえ、うちの実家は持ち家の一軒家だったんですが、庭がけっこう広くて大きな木が生えてたんですね。
ご実家の庭にですか?すごい。
ひかる そこに、結構いたんです。
何がですか?
ひかる カブトムシ(笑)
ええ! 少年の夢ですね。
ひかる それを虫かごに入れて、ただ見てました。それで満足なんですよ、ちっちゃい頃って。まだ自分の部屋がなかったので、居間とか庭の片隅に、虫かごを置いていたと思います。
何人家族だったんですか?
ひかる 僕が長男で、僕の下に女・男・男と3人います。それに両親と祖父母なので8人暮らしですね。
大家族!楽しそうですね。
ひかる う~ん。楽しい、楽しくないっていうより、それが普通。でも寂しくはなかったですね。というか、うるさかった(笑)。ほぼ毎日、8人一緒にご飯を食べるわけですから。
ご実家で、どんな思い出があります?
ひかる よく覚えてるのは、近所の神社のお祭りですね。うん、それが一番楽しかった。普通にTシャツに短パンで、みんなで歩いていくんですよ。それがおもしろかった。
家族みんなで、ぞろぞろ行くわけですね。
ひかる そうです、そうです。目当ては出店。雰囲気が好きだったんですよね。当時の一番のお気に入りは、かき氷でしたね。
庭が広かったそうですが、畑もありました?
ひかる ありましたね。おばあちゃんがいろんな野菜を作っていました。家の外にも畑を持ってて、そっちではおじいちゃんがジャガイモを作ってました。田んぼもあって、お米も売ってましたね。
それじゃあ、畑が日常の中にあったんですね。友達とは何して遊んでました?
ひかる やっぱりミニ四駆の記憶が強いです。昆虫採集、ミニ四駆。釣りはその後ですね。僕らの時代は『爆走兄弟 レッツ&ゴー!!』がはやってて、それでみんな遊ぶようになりましたね。
釣りにはなんで興味をもったんですか?
ひかる お父さんがヘラブナ釣りをやる人で、連れて行ってもらいました。でもその時はハマらなくて。その後、徐々に好きになっていったんだと思います。
自分の部屋と父の仕事
ご自身の部屋はなかったんですよね?
ひかる 最初はなかったんですが、そのうち持たせてもらえました。
どんな部屋でした?
ひかる やっぱり趣味に特化してましたね。ラジコンとか、釣り竿、ゲームとか、好きなモノばかり。筋トレの道具も置いてましたね。
いろいろ置きましたね。広かったんですか?
ひかる いえ、6畳くらいですかね。よく置けましたよね。
趣味が多いのは子どもの頃からなんですね。いろいろやりたくなる理由ってありますか?
ひかる 何かをやって、その技術が上がっていく。やればやるほど上手くなっていくのが、楽しいんですよね。例えばDIYで家具を作る。作れば作るほどうまくなる。そうすると、完成度が全然違ってきますよね。
なるほど。
ひかる はい。ちゃんと自分で頑張った分だけ成果が出るのが、好きなんでしょうね。
子どものころ、やっていたけど好きになれなかったものってありますか?
ひかる あんまりない気がします。例えば、昔はバイクが好きだったんですが、それは車に“置き換わり”ましたね。けっして、バイクが“嫌い”になったわけじゃないです。
それじゃあ、自分で好きで始めて、今続けていない趣味はバイクと昆虫採集ですね。
ひかる そうですね。高校の部活でやってたテニスもたまにやりますし。昆虫も嫌いになったわけじゃないんです。ただ、ずっとやってると、他の趣味ができなくなっちゃうので。
そういえば、テニスラケットがありましたね。
ひかる 2つとも高校時代から使ってるラケットなんです。なんだか捨てられなくて。
大切にされてるんですね。テニスは、かなさんとやるんですか?
ひかる そうです。僕がテニス部だったので、ちょっと教えてます。できれば屋上をテニスコートにしたいです。
屋上あるんですか?
ひかる ないですよ(笑)。ただの願望です。
これだけ多趣味で、色んなことをご存知だと思うのですが、仕事につなげようと思ったことはないですか?
ひかる 今の会社は、高校の同じクラスで仲が良かった3人と、ここならみんなで就職できるかもと入ったんです。でも、好きなことを仕事にしようとかは考えなかったですね。
大学に行きたい、みたいな気持ちも全然なかったんですか。
ひかる 全然なかったです。実家から会社が近かったんで、やっぱり近いのが1番だなって思ってました。
じゃあそれ以来、自分で稼いで、自分で好きなものを少しずつ買いそろえて、休みの日には趣味を謳歌してきたんですね。
ひかる そうですね。基本はそんな感じです。
趣味を楽しむ「最強」の家
親御さんはどんなお仕事をされた方なんですか?
ひかる 父も建築のプレカット系の仕事をしてました。おじいちゃんも瓦屋さんなんですよね。農業もしてましたけど。
3世代、建築系なんですね。
ひかる でも、父の仕事を参考にしたわけではないんですよね。全く。
でもお父さんとは職種が似てますよね?
ひかる というか、一緒ですよね。でもホントに意識してないんですよね。
不思議なものですね。別の仕事をやってみたいと思うことはないですか?
ひかる 今はプレカットした建築資材をフォークリフトで運んだりしていますが、基本的に仕事に不満はないです。でも正直、転職しようと思ったことはあります。
それは、別のことをやってみたい、という気持ちですか?
ひかる そうですね。でも一番は、もっと趣味を楽しむ時間が欲しいんですよね。35歳を超えたくらいから、時間の大事さが身に染みて分かってきたんです。
すごく共感します。この家に住みはじめて1年くらいですか?
ひかる そうですね。ここにくる前は、千葉県の賃貸アパートにいました。最初からここまでいい物件を求めてたわけじゃないんです。賃貸じゃなくて、戸建てで庭があって、車が入る家、くらいの条件だったんです。
戸建て、駐車場、庭、この3つですね。
ひかる この条件は、趣味をめいっぱい楽しむために、最低限必要なものでした。でもこの家を見て、ガレージも、庭も広いし、部屋数も十分だし、リフォームされていてとてもきれい。変な言い方ですけど、条件的に「最強」だったんです。
ホントに最強ですよね。子どもの頃のひかるさんの部屋の要素を、一つ一つ本格的にしたみたいな家ですよね。そういえば、子どもの頃の写真を1枚用意していただいていました。
ひかる これですね。小学校の、多分2年生ぐらいとのきに、授業で描いた絵が何かのコンクールで受賞したんですよね。
すごい。いろんなものが描いてありますね。テーマはあるんですか?
ひかる これは「宇宙」です(笑)
宇宙?
ひかる 好きだったものを描いていったら、宇宙空間になったんです。デカい星とか、宇宙人とか、ロケットとか、UFOとか、スペースシャトルとか。人もいますね。ちなみにこの地球は氷河期なんですよね。
同じくらいの大きさで、いろんなものが描いてありますね。一つ一つ違うのに、不思議とまとまりがある。こういう世界を作るのが、昔からお得意なんですね。
ひかる そうなんですかね(笑)。
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