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お店のこと
-食事処みずしろってこんな店-

手作りの店づくり

ごめんください。（お店の戸を開ける）

ひさえは～い！こんにちは。お待ちしてました。
（お店の奥に向けて）マスタ～。

まさし……はいはい。こんにちは。

朝早くからありがとうございます。今日は、いろいろと聞かせてください。

まさしこちらこそ、よろしく。

（お店の一角に腰を落ち着ける）。ではまず、お二人のお名前から教えてください。

まさしえー、平山正です。正月の正と書いて「まさし」です。
1月1日生まれで、いま74才ですね。

お正月生まれ！その名の通りですね。

まさしそうなんです（笑）。

ひさえ私は、平山寿江です。ことぶきに江戸の江で、「ひさえ」。年は66です。

お二人、お名前がすでにお似合いです。

ひさえ結婚して40年以上かな。

まさしもう、そんなになるか。

引っ越してきてどれくらいですか？

まさし1年くらいですね。いわゆる店舗付き物件で、裏の玄関から入るとすぐ階段があって、2階が住居になってます。ご覧になります？

いいですか？

まさしええ、もちろん。そこの暖簾のところから入ります。（暖簾をくぐり階段を上る）この右手の部屋が居間で、奥が寝室になります。左手は、風呂と洗面台です。

あ、居間にこたつがありますね。

ひさえそうです。仕事が終わったら、ここでTVを見たりして、二人でまったりします。それで寝る時間になったら、隣の寝室で寝ます。ちょっと狭いけど、二人だからこれくらいがいいかなって。

すぐ横が寝室っていいですね。なんだか、生活に必要なものがつまってる感じですね。

まさしそうなんです。もともと2階にキッチンがあったんですが、カチタスさんのリフォームで居間になりました。キッチンはお店と共用にしてます。そっちも見ますか？

ええ、ぜひ。（1階に降りながら）家のごはんも、お店のキッチンで作ってるんですね。

まさしそうですね。ここです。前は家では別にしていたんですけど、ここで作っちゃった方が早いから、一緒にしちゃいました。

1階の店舗部分は、お二人でリフォームされたんですか？

まさしもともと、店舗付きで売りに出ていた家なんですが、しばらくして住居用にリフォームされました。それを私たちが購入したんです。その後で再度、自分たちが使いやすいようリフォームしたんです。

ひさえ 店舗付きはなかなか売れないから、リフォームしたんじゃないかな。ねえ、西澤さん（カチタスの営業担当）？

西澤 実はそうなんです（笑）。通り沿いだし、バイク好きがこの近辺に多かったので、店舗の一部をバイカー向けの広いガレージにリフォームしました。

いまテーブルがあるところですね。

西澤 そうです。屋根つきで、雨の日でもバイクをいじれたりするのもいいかなって。

ひさえ あとはお手洗いですね。もっとテーブルに近い位置にあったので、移してもらって、テーブル席との間には仕切りを作りました。

お座敷とキッチンの仕切りは、手製のラックですね。

まさし そうです。自分らで買ってきて組み立てました。

2階に行くところの暖簾も素敵ですよね。

まさし これは、羽生（はにゅう）で有名な藍染めです。お客さんにいただいて。

ひさえ ここでやっと使えたから、よかったよね。そうやって、あるものでやってます。

無理なくできるいいサイズ

以前も店をやっていらっしゃったんですね。

まさし ええ、羽生で。ここ（行田）の東隣の街です。

なんのお店ですか？

まさし 「一龍」っていう中華料理のお店です。

ひさえ 平成元年からですから、35年くらいやりましたね。

中華料理！？ 「みずしろ」は和定食中心のお店ですよね？

ひさえ ええ。カレーとかもやってます。ようは“なんでも屋”ですね（笑）。

転身されたんですね。じゃあ「一龍」の後でここに？

まさし あ、いえ、「一龍」の後に羽生でもう一軒、別の店をやりました。

ひさえ 羽生駅の東口側で35年。それから西口の方に移って5年。

2店舗も。すごいですね。

まさしここと一緒で、どっちも中古の店舗付き物件でね。「一龍」は、外から見ると一軒家みたいなんだけど、隣も同じ造りで、1階の店舗部分は区切ってあるだけ。羽生はそういう物件がよくあったんだよね。

そこに35年。西口も店名は一緒ですか？

まさしいえそこは「寿園（じゅえん）」です。女房の名前が入ってた方が、繁盛するので。

いい考え方ですね。

ひさえ寿園は、東京で本格的に中華料理を修行していた息子と一緒にやっていたお店なんです。

まさし そのとき息子は30代で、まだ自分のお店を持ったことがなかった。じゃあ一緒にやるかって、こちらから声かけました。

一緒にお店をやるなんて、ご家族仲がいいんですね。

ひさえ 息子も一緒にやることに興味を持ってくれたので、せっかくなら思い切って宴会もやっちゃおうと思ってたら、３階建ての大きな物件に出会ったんです。えーっと、これですね（スマホで写真を出す）。

え！うわ、めちゃくちゃ大きい。

まさし たしか150坪くらい（笑）。

ひさえ ここで、息子と一緒に住んでました。1階が店舗で、2階は全部宴会場。3階が住まい。

まさし私たちね、家を買うとき、新築って考えてなくて。いっつも中古。

ひさえ 新築は値が張るし、無理はしたくないから。

明快ですね。

まさし 基本的に、身の丈にあったものを、現金で買いたい口なんです。うまくいかなかったら、二人で働いて返済できるくらいの借金に留める。商売人なので、そういうのがいつも頭にあります。

「寿園」はなぜ閉めてしまったんですか？

まさし けっこう繁盛していたんですけど、やっぱり、コロナが大きかったですね。宴会が2年間ゼロ（苦笑）。

ひさえ そのタイミングで、息子がヘルニアで入院。私も体調崩して入院。主人が一人で頑張ってたんですが、しんどいので「やめちゃおうか」って。

大変でしたね。

ひさえ でもね、お店を閉めた後は、丸一年くらいは遊んじゃった（笑）。

まさし 何もしないで、借家でぼーっとしてたね。

ひさえ だんだんウズウズしてきて。でも二人とも年だし、何年続けられるかわからない。そんなとき、ここを見つけたんです。そういうのも全部ひっくるめて、無理なくできるいいサイズ感がいいなって。

肩ひじ張らず、できること

このお店は、のんびりやりたいから、店名に奥さんの名前が入ってないんですか？

ひさえ これはね、保健所に申請を出す時に店名を聞かれたんですが、まだ決めてなかったんです（笑）。それで、店の前の「みずしろ通り」からとったんです。行田の人に定着して、忘れられないお店になるようにって。

とってもいいですね。

ひさえそうでしょ？

まさし お客さまには失礼かもしれないけどね、あまり深刻な気持ちでお店をしてると、潰れちゃうんですよ。だから、肩ひじ張ったことはあまりしたくなくて。

実際、営業してみてどうですか。

まさしいまは昼間の定食メインでやってます。僕らは、ちょっと酒癖悪いくらいの人が好きなんですけど、あまりお酒を飲む人がいなくてね。

お客さんとはよく会話される？

ひさえ もちろん。こっちも気取らず、親しくなるっていうやり方で、ずっときてるので。

まさし 来店頻度に関わらず、親しくなったら、次に来てくださるときは必ず声をかけるようにしています。

ひさえ 「お元気ですか」とか「お住まいどこですか」とか「お酒好きですか」とか。どれも普通のことですけどね。

お値段も手ごろで、近くにあったら通いたいです。

ひさえ 千円超えると食べにこれない！っていう声があって、意識してますね。

メニュー数も多くていいですね。

まさし 最初はお肉重視で、丼物中心でやってたんですが、お刺し身系が増えました。生ものは日持ちしないから、のんびり小さくやるお店には、合わないんですよ。

がっつり始めちゃったのは何故ですか？

ひさえ ある日お肉が食べれないお客様がいらして、たまたま自分たち用のアジがあったので、フライにして出したんです。そしたら「おいしい」って喜んでくださって。それからなんです。

すごいホスピタリティ！

まさし そうです。生なので、お刺し身とフライ、両方メニューに入れました。

　仕入れは市場に行くんですか？

まさし そうですね。でも小さいお店なので、市場は、毎日は行きません。定期的に覗きに行って、安いのを見つけちゃ買うんです。

　へえ、そういうものなんですね。

まさし そうです。そういうのを“拾い買い”っていって、築地とかで昔からやってる人がいるんですよね。

　やっているところ、見てみたいですね。

まさし それじゃあ、これから行ってみましょう。