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うめみや家の人々

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我が家のけしき うめみや家

旬のものを、家族と食べる。 温泉からはじまった料理の日々。

新潟県で介護士をしている梅宮大和(やまと)さんは、妻・みゆきさんの妊娠をきっかけに、この家に越してきて8カ月。広々としたキッチンで料理をし、晩酌しながら家族と過ごす夕食の時間が、一日のなによりの楽しみなのだとか。家も家族も新しい、梅宮さんご一家の新たな暮らしのけしきとは。

  • 夫:やまとさん

    夫:やまとさん
    福島県生まれ。専門学校を経て新潟で介護士として働く。むかしは少しやんちゃだった元サッカー部。

  • 妻:みゆきさん

    妻:みゆきさん
    新潟県生まれ。家の近くに務めるケアマネージャー。出産を機に、料理担当を夫にバトンタッチ。

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日々を楽しむ 地のものの魅惑と料理の目覚め

夕食はいつも夫の気まぐれ

早番のときは18時半に帰ってくるということですが、そこから夕食ですか?

みゆきそうです。夕食の準備ですね。この家に来てからは、ずっと夫がやってくれてます。

どんなご夕食なんですか?

やまと僕、夕食ではお米を食べないんで、おつまみになるものですね。

奥さんは、それとお米を食べる?

みゆきいえ、私も白米はなしです。

新潟県にいるのに、もったいない!

赤ちゃんを抱っこするみゆきさん

やまと昼は食べてますよ。夜は食べないってだけで。

みゆきそう、夜なのであまり量は食べないようにしていて。もうおつまみをいただければ十分。

じゃあ「酒のアテ」というよりは、もう少ししっかりとした「おかず」を作るんですね?

やまとええ。でも、そこまでがっつりしたものではないです。仕事場の近くのスーパーは、僕が帰る頃には総菜が安くなってるので、そういうのをよく買ってきます。

じゃあスーパーの総菜と、その日ちょっと食べたいな、というものを作る。

やまとそうそう。献立を考えるっていうより、自分の食べたいものをその日の気分で作る感じです。もちろん、妻の好みも考えますよ。これは食べられないなとか。辛いものとか苦手なので。

ダイニングにいるやまとさん

必ず食べるものってありますか?

みゆきサラダですね。ブロッコリーとトマトを必ず食べてますね。

これまた健康的ですね。

やまとブロッコリーはちょっと塩を多めに入れてゆでるだけ。大谷翔平を目指してるから(笑)。塩味があるのでドレッシングとかはかけません。トマトもそのまんま食べます。

なるほど。じゃあまず、大谷流のサラダが食卓に並ぶ。他には?

やまと今の季節は鍋が多いですね。いろいろ鍋の素があるじゃないですか。野菜とかも、なんでも入れられるし。白菜入れて、キノコ入れて、ネギ入れて、豆腐入れて、みたいな。

好きな鍋の素ってありますか?

やまとおいしかったのは、にんにく鍋ですね。白菜とんこつ鍋っていうのも好きです。僕は辛いのが好きなので、ひとり用のキムチ鍋とか、いろいろストックしてますよ。

お肉は食べないんですか?

やまともちろん、食べますよ。お鍋には豚バラを入れますし、唐揚げとかも好きで、よく買ってきます。僕、メインって感じのものがないとダメなので。主役がほしいというか。だから肉か魚かを何かしら買ってくるか、作るかしますね。

キッチンにいるやまとさん

魚の仕入れは地元の市場で

ご自分で作るときは、どんな主役ができるんですか?

やまと魚を焼くことが多いですね。会社の近くで市(いち)をやってる日があるんです。日付の最後に「4」と「8」が付く日にやってる昔ながらの市です。そこでサケの切り身とかブリのカマとかをまとめ買いしてくるんです。刺し身を買うこともありますね。

いいですね。なんていう市ですか?

やまと僕らは水原市(すいばらいち)といってます。市の日には、魚屋さんとか、キムチ屋さんとか、いろんな露店が出るんです。朝からやってるので、遅番の時に仕事前に行くか、夜勤終わりにお風呂入った後に立ち寄るか、どちらかですね。

じゃあ普段食べているお魚はだいたい、その市で仕入れてる。

やまとそうですね。魚はだいたいその市のなじみの魚屋さんで買ってきますね。あと、職場のそばにあるお肉屋さんでコロッケとかも買います。やっぱり、お肉屋さんの総菜って美味しいので。

けっこういろいろなお店に行きますね。

やまといろいろなところで、いろいろと買うのが好きなんですね。でも会社の近くにまとまってるからで、遠くまで出かけて行くわけじゃない。だから全然苦じゃないんですよ。

市場の話しをするやまとさん

とっても充実した夕食ですね。ちなみに、食後はどうやって過ごすんですか?

やまとだいたいテレビかyoutubeを見て寝ちゃいますね。あとは、妻といろいろ話しますね。

団らんですね。

やまといま彼女は出産して間もないので、実家に行ってることが多いんですよ。だからちょっと見ないでいると、子どもがすごい成長してるんですよ。

じゃあ、子どもの話でもちきりですね。

やまとまさにそうです。結局、子どもの話ですよ。自分たちのことじゃなくてね。

奥さんは、新潟のどちらの出身なんですか?

みゆき私はほんとにすぐそばで、新潟市の西区っていうところです。

やっぱり子育ては新潟でしたかったですか?

みゆきうーん……。新潟から出たことがないんですよね、私。ここ(新潟)にいるのが当たり前。だからか、県外に行きたいとか思いもしなかったですね。

親子3人

あんまり都会では育てたくない、みたいな気持ちはありますか?

やまと僕はありますね。会津で育ったので、都会のど真ん中で育てるっていうのは、考えたことなかったです。

みゆきいいじゃん、都会のど真ん中。東京タワーとかもかっこいいし(笑)。でもやっぱり、友人たちもいるし、なんだかんだで私は新潟が一番ですね。

本当においしいものとの出会い。

新潟っていうと広いですけど、この辺りの暮らしは、どういうところが好きですか?

やまとなにがいいんだろう? でも、ごはんがうまいってことじゃないですかね、やっぱり。県外の友達も来ていろいろ食べますけど、すごいって言いますからね。居酒屋の魚一つ、肉一つがいちいちうまい。そばも、へぎそばがありますからね。食は、みんなすごいって言いますね。

やっぱり食なんですね。

やまと海も山もあるし、ご存じの通り米もすごい。僕が買ってるお米は阿賀野の田舎の方で作ってるもので、寒暖の差が激しい南魚沼みたいな場所なんですよ。ここはとにかく水がいい。山の水なんです。川の水じゃダメみたいなんですよね。お水一つで美味しさが全然違っちゃう。

話をするやまとさん

そういう地元のものの美味しさって、旅行でいろんなところに行くと、実感しますか?

やまと特にお米は感じますね。旅先でパサパサしてうまくないなって思うことも多いです。

みゆきそれは私も感じます。やっぱり地元のお米はおいしいです。

地元のものって、鮮度が違いますよね。

やまとそう、鮮度!新潟では甘えびを南蛮エビっていいますけど、やっぱり他のところで食べても、新潟には勝てないですよ。

ここに住む理由として「食」は大きい?

やまと僕は大きいと思いますよ。若い時は全然味なんか分からなかったですけど。

料理を始めたきっかけは何だったんですか?

やまと4~5年前までは、コンビニとかスーパーの総菜を食べていたんですが、そういうのに飽きてたんですよね。なんだかいつも同じ味だなって。

すごく分かります。

やまとそんな頃に、出湯温泉で知り合った友達がいたんです。友達といっても、すごく年上の60歳とか70歳とか、それくらいの年齢の人たち。そのうち飲みとか、ご飯とかを一緒に行くようになって。その彼らが食べさせてくれるものが、とにかくおいしかった。

窓から外をを眺めるやまとさん

ホントの裸の付き合いですね。

やまと妻が言うように、出湯温泉って相当渋いので、僕くらいの年齢の人はあんまりいない。でも僕は何回も行ってるから珍しかったんでしょうね。「お兄さんわっけえな、どっから来てんの?」って話しかけられたのがきっかけでした。今では妻と一緒に家にお邪魔するくらいの仲になりました。

それがなかったらいま、出来合いのお総菜ばかり食べてるかもしれないんですね?

みゆきそうですね(笑)。温泉がなかったら、うちの食は全然違ってたかもしれません。

それこそ、庭でバーベキューして、新潟のものいろいろ焼いたら楽しそうですね。

みゆき目の前の並木は桜ですからね。春は、バーベキューしながら花見ですよ。ここに来たばかりの頃、デッキで燻製を作ったりもしました。楽しかった~。

やまとやったね、燻製。チーズとか。

味はどうでした?

みゆきもちろん、おいしかったですよ。

やまと僕は思わずビール飲みましたね。

リビング空の窓の景色

(写真:tsukao)