こだわる夫と凝り性の妻。 多趣味なふたりの家族のはなし
住宅街の一角に、ユニークな外観の家がある。1階のオープンガレージには磨き上げられたSUV。その隣は、木枠の菜園ボックスが並ぶ家庭菜園だ。家の中には手作りの家具が並び、釣り具やプラモデルが目を引くインテリアになっている。多くの趣味を持つ川口夫妻の暮らしは、ふたりの子ども時代とつながっていた。
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夫:ひかるさん
茨城県生まれ。高校卒業後、住宅用木材のプレカット製造工場に勤める。DIY、釣り、車、ダーツ、料理など趣味多数。 -
妻:かなさん
茨城県生まれ。子どもの頃に体操を始め、両親に憧れて学校の先生となった。家庭菜園に並々ならぬこだわりがある。
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家の未来予想図
-呼びたいときに人を呼ぶ店-
新たな家族とふたりの流儀
お家に戻ってきたところで、その子を紹介してもらってもいいですか?
かな そうですよね(笑)。私たちフェレットを飼ってるんです。
お名前は?
かな 「イタチ」です(笑)。なんだかふたりとも名前を決められなくて、イタチと呼んでます。
ははははっ。おふたりともフェレットがお好きだったんですか?
ひかる いえ、全然。本当はハムスターを飼いたいなと思ったんですが、隣にいたフェレットが可愛すぎて、心移りしちゃいました。
新しい家族ですね。ちなみに、おふたりが出会ったきっかけを伺ってもいいですか?
ひかる 僕らはマッチングアプリで知り合いました。お付き合いをしてみると、いままで女性にあまり感じたことのない安心感があったんです。
かな そうですね。私もなんというか、波長が合うと思いました。
とても分かります。いろんなことをおふたりでやっていらっしゃいますが、どれも無理がなく、自然な印象を受けます。
ひかる どちらかが一方的に何か強いるっていうのを、僕らは好まないので。
かな 彼と一緒にいると、とにかく楽しいんですよね。釣りも、最初は全然はまらなかったんです。なかなか釣れないし。でもいろいろ教えてくれて、ブラックバスからブルーギルに移行してみたら「釣れた!」ってうれしくなって。
いい関係ですね。おふたりでスノボに挑戦したというのも、いいですよね。
かな 昔よくやっていたからというのはあると思います。小さい時の楽しかった記憶がありますし、やっぱり行きたくなるんですよね。
スキーはふたりともできるんですよね?
ひかる はい、スキーはできるんです。でもスノボはなんか、怪我するのが怖くて、ちょっと敬遠してたんですよね。どちらかというと、僕が踏ん切り付かなくて引き延ばしてました。
実際、スノボはどうでした?
ひかる 楽しかったですけど、きつかったです(笑)。転んだ時の衝撃が、でかいでかい。
刺激の強い思い出になりましたね(笑)。
設計図も肥料もオリジナル
ではいよいよ、おふたりで作った畑にご案内いただけますか?
ひかる もちろん。行きましょう。(みなで畑へ移動)
あらためて、立派な家庭菜園ですよね。
かな ええ。ここの庭はもともとドッグランだったと聞いてます。最初に、こういう風にしたいなという設計図を描いてふたりで作りました。設計図といっても、手描きの簡単なものですけどね。
野菜を育てるスペースを分散してるんですね。
かな そうなんです。畑と通路を仕切っている赤い木枠は「レイズドベッド」といって、これも二人でつくったこだわりです。畑を底上げをして管理しやすくしています。
おしゃれで、育てやすそうですね。ひかるさんも、お手伝いするんですよね?
ひかる 僕は砂利や土を入れたり、フェンスをつくったり、主に大掛かりなことを手伝います。でも、畑のメインは彼女です。
かな 植えたり、育てたりは私がやっています。ちょうど、トウモロコシの苗があるので植えてみましょうか。
ぜひ、お願いします。
かな ふたりで一気には食べられないので、あえて時期をずらして植えるんです。この隣も少し前に植えたトウモロコシですね。ちなみにこれは、100円ショップで種の状態で買いました。2個で100円。
安い!それは買っちゃいますね。他にはどんなものを植えてます?
かな こっちはインゲン豆、これが枝豆ですね。この隣の菜っ葉みたいなのはツルムラサキです。今年はいろいろ育てたいと思って、種類を増やしました。去年はナスとかピーマンとか、オーソドックスなものが多かったです。
育て方はどうやって調べるんですか?
かな ネットを見ながらいろいろ試してます。例えば肥料に使っている牛糞と鶏糞は、近くの堆肥センターというところで購入しました。いろいろな肥料を山積みで安く販売していて、農家の方とかが軽トラに載せて大量に買っていくところです。私たちも、自分たちでスコップで袋に入れて買ってきました。
本格的ですね。臭くなかったですか?
かな いやいや、もちろんすーっごく臭くて(笑)
ひかる 僕なんかもう、臭いでむせ返っちゃって。
かな とくに鶏糞の臭いがすごくて……。取りに行くとき大変だったよね。でも、すっごく安いんですよ。
肥料を土と混ぜたりするのは力が入りますよね。そこは、ひかるさんが頑張ったんですか?
かな それが彼、あまりの臭いに途中でダウンしちゃって(笑)。私がやるからってね。
たくましいですね(笑)。
かな この区画の土は、先日ちょうどその牛糞と鶏糞を混ぜたところで、いわゆる土づくり中です。それじゃあちょっと、リーフレタスを収穫してみましょうか。こうやって、葉の部分だけちぎるんです。そうすると、また生えてくる。
毎日、新鮮でいいですね。やっぱりおいしいですか?
かな とてもおいしいと思います。スーパーとかで買うよりも全然。
わざわざ糞を買いに行く甲斐ありですね。この辺にも、いろいろ植わってますね。
かな これはニンジンで、この黄色いのがズッキーニ。ミニトマト、キュウリ、ツルムラサキ、シソ、オクラ、モロヘイヤもあります。変わり種だと、スイスチャードっていう葉物もあります。
もう、ちょっとした八百屋ですね。
ひかる 収穫できましたし、そろそろ部屋に戻りましょうか。
ふたりで楽しむ家の行く先
あの畑は、これからこうしていきたいっていうプランはあるんですか?
ひかる そうですね。菜園の奥の段になっているスペースにお花を植えて、ライトアップしたいなと考えてます。
なんだか、そうやっておふたりでいろいろ作っていったら、楽しいお店になりそうだなって思いました。もしかして、そういうお気持ちが少しでもあったりします?
ひかる ありますね(笑)。
やっぱり、あるんですね! 今日ずっとお話を伺っていて、「家」というものをベースに、おふたりの好きなものを集めたお城を築いているようだなと思ったんです。
ひかる そういうところは、あるかもしれません。実は、このリビングにあるものも、自分で設計図を引いて、DIYしたものばかりです。キッチン棚、壁掛けの飾り棚、ローテーブル、ダーツが好きなので、このダーツ台も自分で作りました。元々はただのまっさらな空間だったんですよ。
この家を買うとき、やっぱり持ち家であることは大きかったですか。家を持って、自分の理想の空間にしたい、というか。
ひかる まさにそうですね。自分の家のベースとなるものが欲しい、みたいな気持ちはずっとありました。こんなに自分の理想に合う家があるなんて、思っていませんでした。
中古住宅に対する不安みたいなのは、全くなかったですか?
ひかる それはないですね。自分に改造根性があることも大きいですが、住宅関連の仕事をしているので、新築だけがいいわけじゃないことも分かってました。だって、いくらいい家を買っても、それでお金がなくなって、好きなこと何もできませんってなったら、つまらないじゃないですか。
そうですよね。これだけ好きなことがあるのなら、その方が絶対いいですね。かなさんはひかるさんと出会うまで、やりたい趣味ってなかったんですか?
かな なかったんですよね。とにかく、体操とか教師とかで忙しくしていて、自分の時間を持ててなかった。だから、そういうことを考えたこともなかったんです。
その分、いま楽しんでいるんですね。
かな ええ。私、趣味のことを何も知らないんですよね。だから、彼のどの趣味もすごく新鮮で。プラモデルってなに?みたいな(笑)。
この家の未来像ってありますか?ダーツがあって、カウンターにもお酒が並んでて、料理もお得意となると、やっぱりお店なんですか?
ひかる どうですかね(笑)。ハンバーガーはバンズから、ピザは生地から作れます。スイーツもできるのでデザートもいけます。
そして、自家菜園で新鮮な野菜もとれる。もうすでにお店ですね。
かな なんか、自分たちのペースでやれるといいですよね。やらなきゃいけない感じになりたくないので。やりたいときだけやる、みたいな。
じゃあ呼びたい人だけ呼ぶお店、みたいな。
かな そうそう!
これまでに家に呼んだ人はいました?
ひかる 今年の初めに友人を呼びました。その友人は「お店やった方がいいんじゃない?」って言ってましたね。
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