
穏やかな愛を育む二人の新居は 親戚たちが集ったみんなの家
午後の陽射しが木漏れ日となって、カーテン越しにリビングへと差し込む。木々が風に揺れるたびきらめき、居る人を穏やかな気持ちにさせてくれる。新婚の下田さんご夫妻は今日、新居にお客さまを招く。隣に住む龍田さんご夫妻だ。かつてここは、龍田さんのご両親が老後を過ごし、お盆やお正月には親戚みんなが集まる家だった。
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しもだ家・夫::ゆうきさん
長崎県佐世保市生まれ。24 才。電化製品店勤務。趣味はゲーム全般とプラモデル。自称完全インドア派。 -
しもだ家・妻:まゆさん
長崎県諫早市生まれ。26 才。システムエンジニア。祖父が農家だったため農作業が得意。ゲームも好き。 -
たつた家・妻:れいこさん
長崎県長崎市生まれ。年齢は内緒。エアロビクス、ミニバレー、音楽ライブと、とにかく忙しい専業主婦。 -
たつた家・夫:とよあきさん
長崎県島原市生まれの 76 才。新聞スクラップと新聞への随筆投稿に執念を燃やす日々。静かなる酒豪。
写真:tsukao
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ティータイム
-昔のアルバムをめくってみれば-
両親の影が消えるとき
(庭から戻ってきて)みなさん、お疲れ様でした。ここからは、座っていきます。
ゆうき じゃあ、お菓子を用意してるので、食べませんか?
一同 ありがとうございます!
れいこ (下田ご夫妻が二人同時に立つのをみて)すごい。一緒にサッと立つのね!
(下田夫妻、お菓子を準備へ)どうですか、以前のご両親の家に来てみた印象は?
れいこ いろいろ新鮮です。自分が住むんだったら、全部取っ払いたいと思ってたので、広いリビングには納得しました。
とよあき 若くして平屋に住むって、とっても贅沢ですよね。僕なんかは、賃貸マンションだと狭いし上下の音がうるさくて、息が詰まりそうだなって思っちゃうので。
れいこ あとこれは、いろんな考え方があると思うけど、親が住んでいたところがずっと空き家だと、思い出が止まっちゃうじゃないですか。いつまでも母たちがいそうな感じがするっていうか。でも違う方が住んでくれると、そういう感覚がなくなってく。
それは、寂しいってことですか?
れいこ ううん。私は逆だなって思ったの。親が亡くなって、その家が朽ちていくのを見る方が寂しい。それよりも、新しく再生されて、新しい人が入ったほうがいいなって。
とよあき 僕らは1990年から30年以上、ここにいるわけです。そこが変わって、新しい人が入ってくるのを見るのは、いいものですよ。
れいこ もともとウチと敷地が一緒で塀もないし、土地としてつながっちゃっているから、売るのは難しいだろうなって思ってたの。でも上村さん(カチタスの営業担当)にお願いしたら、内見してくれる人が増えて。ほんとに嬉しかった。
上村 別のところにも依頼してたんですか?
れいこ そうよ。でも全然ダメだったの。だから、あ、ここはもう腕が違うなって(笑)。
龍田さんみたいな楽しい方だから売れたっていうのもあるんじゃないですか?
上村 もちろん。そこが強みかなって思ってアピールしてました(笑)。
れいこ お隣さんがとってもいい人ですよって? でもいい人が見つかってよかった~。
ゆうき お待たせしました。ロールケーキです。(二人で運んでくる)
お二人、ほんとに共同作業が板についてますね。
れいこ ね! 今の時代、やっぱりそうじゃないと(笑)。
まゆ このお菓子は、喜々津(ききつ)という駅近くの「ジタン」っていう店のものです。
れいこ あ、ここ有名よ! おいしいよって、人に教えられるお店ですよね。ここのはね、スポンジと生クリームが美味しいのよね。スポンジがきゅっと詰まった感じがして。
まゆ ロールケーキがダメな方がいたら、シュークリームもあるので、遠慮なく言ってくださいね。
一同 ありがとうございます。いただきます!
マイホームでプロポーズ
一息ついたところで、下田さんに質問です。20代にして、賃貸やマンションじゃなく、一軒家を買おうって思った決め手って何ですか?
ゆうき 自分の中で結婚するって決めていたのが大きいと思います。賃貸よりも長期的にはいいかなと思って。もともと平屋がいいねっていう話もしてました。
まゆ 後々のことを考えると、平屋かなって。掃除とか、管理もしやすいですし。
ゆうき あとここに来たとき、二人とも「なんかいいな!」って直感が働いたっていうのもあります。
それは、家に入ったときに感じられた?
まゆ 私はそうですね。リビングに入った瞬間、いいなって。
けっこう探されたんですよね。
ゆうき 戸建てで内見したのは4~5件ですけど、賃貸も合わせると、もっとたくさん見てます。
まゆ ここは環境もよかったです。
とても閑静ですよね。移動は車が中心だと思うんですが、バスも使われます?
まゆ 私は通勤で使ったりしますけど、基本的には車ですね。
あまり歩くことはないですか?
まゆ それが、妊娠してから動かなきゃってことで、散歩するようになったんです。この前ニュータウンのバス停の辺りまで行ったときに、「ああ海がこっから見える」って気づいて、その風景がお気に入りになりました。いい風景なんですよ。
とよあき 私もよく散歩するんですが、あそこはとってもいいです。大村湾が見えて、工業団地に行く手前の橋からは五家原岳が見えて。
閑静で景色もよくて、いいですね。
ゆうき とても暮らしやすいです。
これまで暮らしてきて、思い出深かったことってありますか?
まゆ 去年、私が2カ月ほど東京へ出張に行ってたんですね。最初に1カ月行って、いったん帰ってきてから、もう1カ月っていう日程で。その間に帰ってきたとき、まだちょっとしか住んでないのに、すごく落ち着いたんです。「ああ、私の家だ」っていう安心感があるなって。
それは、なかなかないことですね。ゆうきさんは、何かありますか?
ゆうき 自分は……ここで、プロポーズしたもんね。
まゆ そうだね(笑)。
え!家を買ってからプロポーズされたんですか⁉
れいこ その前に、そういう話はなにもなし?
ゆうき はい、そうですね。
それは、断れないですね(笑)。
ゆうき そうです。もうそういう状況をつくって(笑)。
れいこ どんなふうにやったんですか?
ゆうき 恥ずかしいな……(笑)。えー、二人の記念日だったんですが、今までの二人のツーショット写真とかを切り抜いた1本の動画を流しまして、その流れで。
動画は、ここで?
まゆ はい。スマホで。とっても嬉しかったです。涙、涙でした。
れいこ それは嬉しいよね。でも私、さすがにプロポーズはした後で買われたのだと思ってました。
僕も、マイホームでプロポーズした話は初めて聞きました。
まゆ それが去年の4月で、すぐに籍をいれました。引っ越しが3月で、東京出張が5月です。
それでほっとするって、この家がよっぽど馴染んだんですね。あ、いま木漏れ日がとってもいい感じ。
まゆ ほんとだ。
昔の写真を見てみる
そうだ。龍田さんが、ご両親が暮らしていた頃のアルバムを持ってきてくださったんです。
まゆ ぜひ、見てみたいです。
れいこ (とよあきさんがアルバムを広げる)昔の写真だから、日付が書いてあります。これは92年かな。これは私と、私の兄の家族がこの家に遊びに来たときのです。まだ父がいるときだ。
こちらがお母様? れいこさんは?
れいこ そう、これが母!真ん中にるのが兄の嫁で、端っこにいるのが兄ですね。私は……ああこれ、私が撮ってるんだな。
ゆうき 楽しそうですね。
れいこ お盆とお正月は、絶対この家に集まってたの。これが床の間です。ほら、壺があるでしょ?いまフィギュアが置いてあるところに。そうそう日本人形も置いてあった!
お花も見事ですね。
れいこ 母がお花を生ける人だったので、正月用のお花を植えてあるんですね。松とかナンテン(赤い実が成る植物)とか、庭から持ってきて飾ってましたね。
まさに床の間の使い方ですね。
まゆ わたしたちも、床の間をちゃんと使わないとね。
ゆうき そうだね。この写真は?
れいこ わたしの子どもたち。これは玄関の前で撮ってます。ほら、引き戸があるでしょ?
この玄関に植わってるのは?
とよあき それはカサブランカ。いろいろ植木が好きな人だったから。
こう見ていくと、ほんとに頻繁に行き来していたんですね
れいこ そうです。私が娘を怒ったりすると、最終的にはこの家に逃げてくるんです。おばあちゃんは、孫には優しいから。
選べないと思いますが、何が一番思い出深いですか?
れいこ やっぱり、お正月とお盆よね。みんなで一緒に食事して。仕出しとったりなんかしてね。私が時々おでん作ったり、ハンバーグとか、角煮とかを作ったこともありました。
みなさん、お酒は飲むんですよね?
れいこ もう酒豪ばっかり(笑)。ウチの旦那が一番飲みます。兄と、私の娘婿も。
楽しそうな酒盛りですね。
れいこ いとこ同士も仲がいいから、とてもにぎやかでした。そう、思い出してきた……。母の壺の中に小銭を入れて、兄の子どもたちが手を入れて取れるかどうか、みたいな遊びをしてたな。
はははっ。絵が浮かびます。
れいこ あとは豆まきね。自分の家でやると掃除が大変だから、こっちの家でするんです(笑)。娘たちも巻き込んで。いつも父が鬼の役で、娘たちから投げられる(笑)。
お母様とは仲が良かったんですよね。
れいこ 母と私は、いいお友達でしたから。話すのは日常茶飯事で、父の悪口から何から「聞いてよ~」って感じで、しょっちゅうおしゃべりしてました。
ほんとに素敵な関係ですね。
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