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かわぐち家の人々

我が家のきおく かわぐち家

こだわる夫と凝り性の妻。 多趣味なふたりの家族のはなし

住宅街の一角に、ユニークな外観の家がある。1階のオープンガレージには磨き上げられたSUV。その隣は、木枠の菜園ボックスが並ぶ家庭菜園だ。家の中には手作りの家具が並び、釣り具やプラモデルが目を引くインテリアになっている。多くの趣味を持つ川口夫妻の暮らしは、ふたりの子ども時代とつながっていた。

  • 夫:ひかるさん

    夫:ひかるさん
    茨城県生まれ。高校卒業後、住宅用木材のプレカット製造工場に勤める。DIY、釣り、車、ダーツ、料理など趣味多数。

  • 妻:みゆきさん

    妻:かなさん
    茨城県生まれ。子どもの頃に体操を始め、両親に憧れて学校の先生となった。家庭菜園に並々ならぬこだわりがある。

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こだわるところ
-DIYと畑作業を楽しむお買い物-

はじまりはホームセンター

庭の畑は主にかなさんがやっていると伺いましたが、ご実家に畑はあったんですか?

かな いえ、ないですね。母がお花が好きなので、お花は植わってました。でも手伝っていたのは草抜きくらいですね。

それが突然、大人になって目覚めたんですね。

かな 前のアパートに一緒に住んでいたときに、たまたま始めたんです。いろいろ用事があってホームセンターに行くと、種とか苗とか、売ってるじゃないですか。そこからですね。思いつきでなんかやりたいなって。

種パッケージ

苗

でもそれが、楽しかった。

かな ええ。種が育って実がなるって、すごいなと思いました。

なるほど。畑はホームセンターがきっかけだったんですね。もしよかったら、ホームセンターで、ふだんどんな風に買い物をしているのか、見せてもらえませんか?

ひかる いいですよ!ここから車で15分くらいなので、いまから行ってみましょうか。

<<ホームセンターへ移動>>

ホームセンターへ向かうふたり

このホームセンターはよく来るんですか?

ひかる 比較的よく来ますね。でも、明確に買う物があるときだけです。なんとなくぶらつく、みたいなことはあまりしません。

なるほど。最近はいつ利用しました?

ひかる 畑のウッドフェンスを作ったときですね。高さが約1.6m、幅が13mくらいだったと思います。

じゃあ、その時のお買い物の流れを教えてください。

うしろ姿のふたり

川口夫妻のウッドフェンスDIY

ひかる 分かりました。まず、資材館から入っていきますね。確かあのときは、最初に石を買いましたね。

ウッドフェンスに、石を使うんですか?

ひかる ええ。結局、基礎となるものを置いて、そこに柱を立てる構造で作ったので。えーっ、お次はですね、ちょっと進みますね。……ここです。ここで支柱にする軽天材を買いました。

長い棒状の素材がいろいろ並んでますね。これも木材ではないんですね。

かな そうですね。ウッドフェンスではあるんですけど、柱を木にすると腐ってしまうので、今回はこれを使いました。店員の方に長さを伝えるとカットしてくれます。

なぜこの素材を選んだんですか?

かな なるべく低コストで作りたいなと思って。軽天材は使いやすくて、けっこう安いんです。

軽天材の前のふたり

ひかる それにここは色を塗っちゃえば、ほとんど見えなくなる部分なので、あまり気にするところじゃないんですよ。これで支柱をゲットです。じゃあ次、フェンスの素材に行きます。

(移動しながら)実際に見える部分の素材は、どこまで決めておくものですか? 木の種類とかまで決めておきますか?

ひかる 今回はスギを選んだのですが、特に木の種類とかは決めてなかったです。「薄くてちょっと長めのものがいいな」くらいの感じです。もっと言っちゃうと、別に本物の木材じゃなくてもいいんです。木目の樹脂とかプラスチックとか。

材木の種類とかは関係ないんですね。

ひかる 今回に関していえば、あまり関係ないですね。ただスギって安いんですよ。加工もしやすいですし。あと、やわらかいのでビスも入りやすい。

なるほど。選んだら、さっきと同じように切ってもらうわけですね。

ひかる そうです。軽天材でタテに柱を立て、この木材をヨコに数枚並べてつなぐわけです。

木材を担ぐひかるさん

おお。なるほど。

ひかる ちなみに、木材じゃない人工材って、めっちゃ高いんですよ。例えばこれは木材の倍以上します。断然長持ちする上に、手入れがほぼいらない。

納得です。

ひかる じゃあ、塗料の方に行きましょう。使ったやつ、まだあるかな。……これですね。チョコレート色。

色の決め手はなんだったんですか?

かな 畑を区画ごとに囲っている木の柵があるんですけど、それに近い色にしようと話してました。サイズも大きいので、そんなに派手じゃない色を選びましたね。

塗料を選ぶふたり

どれくらいの量を使うものなんですか?

ひかる この1.6リットル1つじゃ足りなかったと思います。二度塗りしたので。数年したら上塗りすることになると思うので、ニスは塗りません。塗料はこれくらいで、次はビスですね。

ビス選びのポイントってあるんですか?

ひかる 打ち込む素材を考えて、長さをしっかり測っておきます。支柱を軽天材にしたので、ビスも軽天用のものを買います。掘りながらグイッとささってくれるやつ。ほら、こっちの木材用のやつは、ちょっと先端の形が違うでしょ?

ホントだ。ビスのカタチって違うものなんですね。

釘を選ぶひかるさん

ひかる 材料としては、これでひと通りそろいましたね。

ちなみに、ウッドフェンスを作るのに、どれくらいの日数をかけました?

ひかる 正確には覚えてないですが、けっこうかけましたね。13mもあるので、セクションを分けて作っていきました。例えば、重しの石を配置して支柱を作る日、次に板の位置を決めて順に留めていく日、みたいな感じで。

段階を追って作っていくんですね。

ひかる そういえば、今回モルタルで石に立てた支柱を固めました。入口付近に売ってるので、行ってみましょうか。(資材館の入口あたりまで移動)

これがモルタルですか?重そうですね……。

ひかる これを水と混ぜると、柔らかくびちゃびちゃになる。重しの石の穴に支柱を立てて、これを流し込んで1日経つと、ガッチガチに固まります。

本格的ですね。でもこれくらい、DIYをする人にとっては当たり前なんですか?

ひかる いえ、僕らはかなり特殊だと思います(笑)。

土を選ぶふたり

野菜作りはふたりで学ぶ

じゃあ今度は、畑をやるきっかけになった野菜関連の方へお願いします。(ガーデンセンターへ移動)

かな ああ、これこれ。こういう野菜の種があるじゃないですか。これを買って、発芽させて苗まで育てて植えてます。

いろいろな品種がありますね。

かな ええ。季節的なものとか、これ食べたいよねとか、ふたりでいろいろ話しながら決めますね。

ひかる これ最強だよね。リーフレタス。庭の畑で、とってもよく育ってます。

種を選ぶふたり

選ぶ野菜を決めるとき、気を付けていることはありますか。

かな 小さな畑ですけど、連作障害とかがあって、同じ土地ではウリ科を毎年は育てられないとかはあります。だから、いろんな野菜のローテーションを考えて植えます。今年はこれがいける、みたいに。

連鎖障害っていうのは、育たなくなっちゃうってことなんですか?

ひかる いえ、採れはするんです。食べられもするんです。でも、成長に障害が出ちゃうんですよ。

かな ようするに、畑からウリ科を育てる栄養が1回抜けちゃっている状態なんです。栄養素がないところに植えても、うまく育たないですよね。

そういうのも、おふたりで一緒に勉強するんですね。

かな そうですね。ふたりで調べます。例えば、アブラナ科の野菜とレタスっていうのは、お互いの虫をよけ合うみたいな性質があるので、一緒に植えたりするんです。そういう相性のいいものを「コンパニオンプランツ」っていうそうです。

へえ、そうなんですね。

かな こういうのが分かると、ここの間にはこれを植えようとか、植えたいものが広がっていくんです。リーフレタスとかは、そういう理由で植えました。

ひかる 何ヶ月も食べてますね。むしっても、1週間したらまたばっと生えてくる。

一番育てるのが楽しかった野菜ってなんですか?

かな それはスイカですね。けっこう大きくなったんですよ。5キロくらいはあったかな。

スイカの種を選ぶふたり

すごいじゃないですか!何個くらいできたんですか?

ひかる 最終的に7~8個は取れたと思います。 最初に、小さいスイカができるんですよ。パチンコ玉くらいの。そこから2週間くらいかけて大きくなっていくんです。

かな あと、人工受粉させるのが楽しかったですね。雄花を雌花にちょんちょんってつけるんです。ズッキーニとか、カボチャもやります。

ほんとに楽しそうですね。ホームセンターは、おふたりの思い出の場所になっていくんでしょうね。

(写真:tsukao)